あすなろ建築工房(後編)

〈シリーズ_造作で住まい手の暮らしをかなえる人々29〉
「設計事務所×工務店の総合力で、長く愛される心地よい家をつくる」(後編)
株式会社あすなろ建築工房 代表取締役 関尾英隆さん

あすなろ建築工房代表取締役・関尾英隆さん(以前は造作家具も製作していた作業場にて)

前編に引き続き、横浜市を拠点に活動し、地元はもとより、全国の工務店からも注目を集めている「あすなろ建築工房」の後編です。

前回は、代表の関尾英隆さんが創業するまでの道のりや、住宅設計の想いが詰まった2軒の住宅をレポートしました。

この後編では、関尾さんがこれまでの歩みのなかで気づいた「長く住み続けられている家」の共通点と、それを実現するために必要なアプローチについてさらに深く伺います。

鍵を握るのは、「住まい手を想う優れた職人の手」。暮らしに寄り添う設計と、確かな職人の技から生まれた住まいには、ekrea Partsの『キッチン・キット』や『フレックスシンク』が採用されていました。施工事例を豊富な写真とともにご紹介します。

前編はこちら

工務店修業の現場で気づいた「長く住み続けられている家」の共通点

作業場には造作に使うためにつくった金物も保管されている

あすなろ建築工房のホームページには「家づくりへの想い」という項目があります。そこでまず目に入るのは、「愛される家をつくりたい」というキャッチコピー。

「修業していた沖工務店でたくさんの家を見ました。なかには30年40年経っているすごくいい家と、10年しか経っていないのに、ボロボロになっている家がありました。30年、40年の家というのは、性能はよくないですが、住んでいる人がすごく丁寧にメンテナンスもして守ってきている。家が長持ちするかどうかは、住んでいる家族がその家を好きか、愛しているかどうかだと知りました」

長く愛されている家は、無垢の木や漆喰といった自然素材で建てられていることが多かったと言います。

「無垢材は、経年変化で年月を重ねるごとに味わい深くなります。家を建てた職人の素材の選定次第で、大きな差が出ることも目の当たりにしました。長く住み続けられる家は、優れた職人がいなければ実現しないのだと痛感しました」

「愛着は手触りから」。収納やキッチンは木を使った造作にこだわる

作業場で出番を待つ、収納棚や作業台に使う木材

あすなろ建築工房を設立後、関尾さんは、いい職人を集めて家を建てること。本物の素材しか使わないことを心に決めます。

「新建材と呼ばれる合板やプリントの建築材料、家の呼吸を止めてしまうビニルクロスは、絶対に使いません。使用するのは、住まい手と一緒に年を重ねる自然素材のものだけ」

それは、構造や仕上げ材にとどまりません。空間のノイズになりがちな家具やキッチンも、職人の手仕事で仕上げていきます。

鉄工所に依頼してつくった階段用のブラケット

「既製品を買うのが嫌なんです。なぜなら、将来壊れても取り替えがきかないから。例えばキッチンだと、壊れるところって、水栓、食洗機、コンロくらい。それ以外の部分は、まず壊れない。造作なら壊れたらその部分だけ取り替えればいいし、食洗機が要らなくなったら、その部分を収納にしたりできる。システムキッチンのように20年経ったらみずぼらしくなって、全部取り替えみたいなことにはなりません。一生使えるから、愛着が湧いていきますし、出費も抑えられます」

そうして出来上がった住宅のキッチンや洗面台は、ekrea Partsの「キッチン・キット」と「フレックスシンク」がベースに使われることが多いと言います。さっそく、ご採用いただいた、キッチンと洗面の施工事例を紹介していきましょう。

事例1. 生活感の出るものは隠し、心地よく暮らせる家事がスムースにできる家

30代のご夫婦と子ども2人の、4人家族が暮らす住まいです。お祖父様が暮らしていた家を建て替え、延床面積30.5坪の2階建ての家が完成しました。

LDKは、吹き抜けのダイニングを左右に小下がりリビングと畳の小上がりがあり、キッチンからはダイニングを介して庭を望める、まさにあすなろスタイルともいえる設計プラン。

キッチンは、キッチン・キットをベースに造作したⅡ型キッチンです。シンク部(W1800mm×D720mm)と、壁側のコンロ部(W2995mm×D650mm)を組み合わせたプランです。

対面のシンク脇は、パンづくりの作業台としても活躍しています。家族でキッチンに立っても作業しやすいよう、壁側のコンロの位置は、シンクにいても作業しやすい位置に。

「玄関からシューズクローゼット、パントリーを通り、そのままキッチンへと抜けられる便利な裏動線を確保しました。キッチン入り口に設けた冷蔵庫スペースは、リビングやダイニングから死角になるよう配慮されています」

洗面台には、水はねが少なく掃除がラクなekrea Partsのセミオーダー人工大理石一体洗面カウンター「フレックスシンク」ハイバックタイプを採用。下台は造作しました。

その先のランドリースペースには、床置きのミーレの洗濯機とガス乾燥機を収納するスペースを造作。上部はアイロンがけや衣類を畳むスペースとして活躍しています。

サッシの外にはLDKとつながるデッキが。外干しの動線もコンパクトです。

「ウッドデッキの外干しスペースは、リビング部分に壁を設けたことで、LDKからはまったく見えません」

くつろげるよう、生活感の出るものは極力隠し、家事はスムーズにできる動線を確保。設計と造作の力で、愛おしい日常が紡がれていく家ができました。

事例2.マンションリノベで実現。木に囲まれた使い勝手のいいキッチン

次にご紹介するのはマンションリノベの事例です。

築35年、延床面積75㎡、典型的な3LDKの間取りのマンションを、戸建てを思わせる、木の心地よい住まいに変身させました。

カーペット敷きの「小下がりリビング」には、ソファを造作。家族が思い思いの時間を過ごせる、くつろぎの場になっています。

キッチン側に目を向けると、キッチン・キットの対面部分にダイニングテーブルを横並びに配置。その奥の壁際には、造作でスタディコーナーもつくりました。

対面部分の白い壁の裏側には、冷蔵庫のスペースと、パントリーを配置。玄関からは、リビングダイニングを通らず、こちらからキッチンへ入る動線もあります。

コンロ下に見える2段のオープンな収納棚はオリジナル。

「コンロの下にスノコを入れたい、というお客さんのためにつくりました。製作は家具屋さんに依頼。細くて丸いステンレス棒を木枠に組み込んだもので、スライドレールも付いています」

マンションリノベと造作で、住まい手が本当に使いやすいキッチンが誕生しました。

事例3.造作収納でコンパクトな家でもすっきり片付く、居心地のよい家に

こちらは、閑静な住宅街に立つ、延床面積28.8坪の2階建ての家です。

LDKと収納としても便利な小上がりは、仕切りのない一室空間。外にはウッドデッキがあり、自然素材に包まれた空間で、家族が思い思いの時間を、心地よく過ごせる場所が随所にあるプランです。

キッチンや洗面所といった水回りは、掃除や手入れのしやすさも重視。木の温もりを感じさせる仕上げにこだわりました。

ポケット付きEシンクを選択しています。ダイニング側から手元が見えないよう、家具工事でリビング収納をプラス。

さらに、背面にある木天板のカップボードも、キッチン・キットのフロアキャビネットを4つ(W2290mm×D650mm)使用して造作しました。収納がたっぷりあるので、散らかることもありません。

小上がりの壁の先には、洗面家事スペースがあります。浴室、脱衣室、洗面、ランドリースペースを一直線に配置し、そのまま外干しができるウッドデッキへとつながる設計に。最短の動線で効率よく家事がこなせる空間です。

洗面台は、フレックスシンクのハイバックタイプ(W1220mm)を用いたオリジナルの造作。既製品にはない、この空間のためだけの軽やかさと、木の温もりをあわせ持つ洗面空間が完成しました。

事例4.洗面台とつながる木天板のカウンターで洗濯物の片付けもスムーズ

こちらは、延床面積27坪、家族4人が暮らす家です。

キッチンはキッチン・キットをベースに造作したⅡ型タイプに。対面部分(Ⅱ型シンク部、W1800mm×650mm)と、壁側(Ⅱ型コンロ部、W2550mm×D650mm)を組み合わせました。

ダイニングの隣には、LDKから見えない外干しスペース(ウッドデッキ)とつながる、洗面家事室があります。

洗面台にはW1480mmのフレックスシンクのハイバックタイプを採用。スツールに腰掛け、朝の支度ができる、余裕の広さです。

さらに背面にはたっぷりの収納を造作。洗面台の先に木天板のカウンターをつなげたことで、取り込んだ洗濯物を、その場でアイロンがけできるスペースもできました。

事例5. アイランドに秘密のゲート!? ペットの安全も考えた造作キッチン

最後に、ご紹介するのは愛犬と暮らす家のキッチンと洗面スペースです。

玄関を入ると、そこは愛犬のためのタイル敷きの土間、小下がりリビング、そして、オークの無垢床のダイニングとキッチンが段差でゾーニングされつつ、おおらかにつながる空間が広がります。

キッチンにはキッチン・キットのⅡ型のベースキットを採用。写真ではまったく見えませんが、アイランドタイプのシンク部(W2100mm×D1050mm)には、リビング収納を設け、その後ろにペットゲートを組み込んでいます。

左右から引き戸のようにゲートを伸ばせば、キッチンへはシャットアウト。自然素材の空間に馴染むだけでなく、ペットの安全にも対応したキッチンになりました。

シンクは、ポケット付きのEシンクに。フラットな天板でも、洗剤ボトルやスポンジが出っ張らずすっきり見えます。

コンロのある壁側のサイズはW2700mm×D650mm。写真奥にあるパントリーの先には、おこもり感のある書斎スペースがあります。

そしてこちらは、フレックスシンクを採用した洗面台と、ランドリールームの写真です。洗面の下台、ガス乾燥機置き場、収納棚はすべて大工工事。

「大工がいつも使っている材でつくっているので、もし、ガス乾燥機が壊れたり、不要になったりしても、使いやすい収納に変えることができます」

あすなろ建築工房がekrea Partsの商品を採用する理由

  

前編と後編に分けて、あすなろ建築工房の長く愛される家づくりを、ご紹介してきました。

それぞれの家には、設計力が生み出した居心地のよさと、家事の負担を軽減する工夫が。そして、自然素材を使い、職人の手仕事でつくり上げた手触りのよさが随所に。

  

最後に、キッチン・キットやフレックスシンクを採用する理由も伺いました。

「キッチン・キットを使うことで、フル造作するより費用を抑えられ、工事期間も短縮できるのがいいですね。ある程度調整できて設計に落とし込みやすいのも気に入っています。洗面台は、システム洗面台だと安っぽいですし、使いたくはありません。フレックスシンクを使えば、大工工事でその家にあった、納まりのよい洗面家事室になります」

歳月を重ねるほどに味わいを増していく、あすなろ建築工房の「愛される家」。

ekrea Partsの『キッチン・キット』と『フレックスシンク』は、職人の確かな手仕事にそっと寄り添いながら、家族の愛おしい日常をこれからも静かに支え続けていきます。

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