角をRにした柔らかなフォルムが美しいペンダントライト
スチールに白の焼き付け塗装をしたペンダントライト。台形の端正なラインをベースに、角を丸く整えた独自のフォルムは、2枚の鉄板にR加工を施し、溶接・研磨して台形に成型という、高度な技術から生まれた。
シャープでありながら、優しく美しいフォルムは、20年、30年と長く使い続けても、決して飽きることはない。静謐に、そして確かに、日々の暮らしを見守り続けるだろう。
スチールの曲線に沿って広がる光がしっかりと食卓を照らす
シェードの下の部分は350mm角。R加工を施した四隅から溢れる光は、優しさに満ち、それでいてテーブルをしっかりと照らし出す。
見上げた際の眩しさを抑えるため、シェード内部には本体と相似をなすファブリック製の光源カバーも設えられている。
食卓を明るく満たしながら、家族の大切な時間を静かに支えてくれる灯りだ。
シェードに体温を添えるケヤキ材の吊元
シェードの頂部、その吊元に配された円筒状のケヤキ材が、意匠の柔らかなアクセントに。ともすれば無機質な印象に陥りがちなスチールのシェードに、この木肌が確かな「体温」を添えている。
この吊元が室内の建具や家具の木質感とも静かに共鳴し、空間全体をいっそう静謐に整えてくれる。
長く使える素朴な照明器具『KECKシリーズ』
それまでの白熱灯や蛍光灯からLEDに変わったことは、照明の大きな革命であった。色合いも良くなり、様々な形態の照明のあり方が提案され、何より省エネに貢献し、夏暑くないのは本当に喜ばしいことだ。
しかし問題もある。照明器具のつくりがテクニカルで複雑になり、球が切れたら器具ごと交換しなければならない。例えば住宅のLEDのダウンライトもやがて球が切れたら素人では交換はできず、プロの電気屋さんに器具ごと取り替えてもらわなければならない。
器具自体非常に高価で、また日進月歩である世界なだけに、数年後同じような形質の器具が存在していて、本当に無理なく取り替えできるかどうかはわからない。
格好がよくてハイテクなものは、住まいや建築という長い時間のスパンと折り合いをつけることが難しく、最先端のものが建築に大量に固定され組み込まれていれば、建築自体の耐用年数も縮めることになるかもしれない。かつてのセントラルヒーティングのように。
そんなことから素朴で長く使え、そしてそんなに高価ではない照明器具をデザインして作り続け、使い続けている。長いお付き合いの大阪で照明器具を製造しているKECKと二人三脚で手作りで器具を作り、今までにペンダント照明を4〜5種類、スタンド照明を2〜3種類をデザイン、製品化してきた。
いずれも素朴で原始的なつくりなので、LEDの球が切れたら簡単に交換ができる。球の入手もおそらく数十年後も難しくないだろう。
またスタンドの台座は、他にはない吉野の無垢のケヤキ材である。長いテーブルをくまなく照らすことのできる、軽くて素朴な長いペンダントライト照明は、実は他にあまり存在していないように思う。つまり自分自身とても重宝している。
建築に組み込まれていなければ、もしかしたら素朴な照明器具は建築よりも長生きできる可能性もある。新しい家に簡単に持っていけるからだ。
出会いから十数年。
堀部安嗣氏がデザインした「灯り」の販売をスタート
2012年、1本の電話から、堀部安嗣氏と「ekrea Parts」の母体である参創ハウテックとの歩みは始まりました。
以来、都内の住宅、マンションリノベ、軽井沢の別荘…、施工を請け負った件数は優に十を超えます。数多くの現場を通じて堀部建築の真髄に触れた経験は、私たちにとって大きな財産となり、深い信頼関係を築き上げてきました。
そうした経緯から、この度、新たなプロジェクトがスタートしました。それは、堀部氏の手がけた小さな建築“照明”の販売です。
堀部建築において、家具や照明は建物と切り離せない不可欠な要素。空間のサイズ感や素材感を追求して生まれた灯りは、まさに堀部建築の結晶。住まいに新たな〝場〟が生まれ、暮らしの記憶に深く刻まれる灯り。どうぞ、あなたの手でその質感をお確かめください。
堀部 安嗣(ほりべ やすし)
1967年、神奈川県横浜市生まれ。住宅設計を軸に、店舗、美術館、客船など多岐にわたるプロジェクトを手掛ける、日本を代表する建築家。
その土地の風景に静かに寄り添い、住まう人が本質的な心地よさを享受できる「場」を生み出す設計手法は、多くの人々を魅了し続けている。
2002年「牛久のギャラリー」で第18回吉岡賞を受賞。2016年には「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)を受賞するなど、受賞歴多数。